アップライトピアノのサイズと選び方｜価格や寿命など後悔しないための基礎知識

ピアノを買うと決めたとき、真っ先に候補として挙がる『アップライトピアノ』。
手頃な価格に設置しやすいサイズなど、初めて購入するピアノに選ぶ人も珍しくありません。

ただ、実際に購入するとなると…

など、気になることが次々に出てきて、なかなか決めきれないものです。
せっかく買うなら失敗したくないし、長く安心して付き合える一台を選びたいですよね。

そこで、アップライトピアノの特徴やメリットとデメリットはもちろん、料金相場や選び方のポイント、さらには中古で探すときの注意点まで、購入を検討している人が損しない情報を分かりやすくまとめました！

アップライトピアノの購入を検討しているなら、ぜひご覧ください。

アップライトとは？

アップライトピアノとは、一般家庭で広く使われている縦型のピアノです。
学校やピアノ教室でも親しまれ、クラシックからポップスまで幅広いジャンルに対応できます。

アップライトピアノの構造は、弦や響板を縦方向に配置しているのが特徴です。

グランドピアノが横に寝かせた形で弦を張るのに対し、アップライトは直立した形で内部が組み込まれているため、省スペースながら本格的な音を出せることができます。

このように、アップライトピアノは縦型構造によって「コンパクトさ」と「本格的な演奏体験」を両立している楽器といえるでしょう。

メリットとは？

アップライトピアノのメリットは、室内に置きやすい大きさなこと。
弦が縦に張っているため高さはありますが奥行きは短く、あまり場所を取らずに置けます。

もうひとつのメリットは、値段がグランドピアノよりも安いこと。
本物のピアノの音や手ごたえが楽しめるのに、値段は手頃なので、家庭用や練習用としてとても人気があります。

音の響きも、練習するには十分しっかりしています。
もちろん、グランドピアノほど大きな音や深い響きは出ませんが、クラシックからポップスまで幅広い曲に対応できるので、安心して使えます。

総じて、アップライトピアノのメリットは…

といった、とてもバランスが良いことです。

デメリットとは？

アップライトピアノは、ピアノが抱える問題点を解消する利点がある一方で、いくつか注意すべきデメリットもあります。

1つ目は、メリットとして挙げた、弦が縦に貼られていること。
その構造上、音の響きやペダルの効き方に限界があり、グランドピアノに比べると表現力が制限されます。

また、重量と大きさも無視できません。
電子ピアノと違って数百キロ近い重さがあるため、設置や移動には専門業者の力が必要になることも。

さらに、定期的な調律が必須なこともデメリットでしょう。
年に1回～2回は調律しないと音程がズレるため、電子ピアノのようにメンテナンス不要という訳にはいきません。

このように、アップライトピアノは、本格的な生ピアノとしての魅力を備えている反面、維持コストや表現力の面では制約があることを理解しておく必要があります。

アップライトピアノの大きさ！詳細なサイズを知っておこう

アップライトピアノの魅力は、コンパクトなサイズです。
どの家庭にも設置しやすい大きさで、それを理由に購入する人も珍しくありません。

とはいえ、それなりに存在感があるため「横幅・高さ・奥行き・重量」といった寸法は知っておきたいところ。

そこで、ここではアップライトピアノの大きさについて、詳しく紹介します。

アップライトピアノの寸法（おおよその値）

横幅	高さ	奥行き	重量
150㎝前後	110㎝～130㎝	55㎝～65㎝	200㎏～250㎏

横幅｜約150㎝前後

アップライトピアノの横幅は、おおよそ150㎝前後が一般的です。

メーカーやモデルによって多少の差はありますが、大きくても160㎝以内に収まるケースが多いため、リビングや子供部屋にも設置しやすいサイズ感です。

横幅のイメージは、大人が両手を広げるくらいの幅。
「大型のテレビ台」や「三人掛けソファ」より小さいくらいなので、意外に置けると感じるのではないでしょうか。

壁ギリギリにアップライトピアノを置くと、搬入やメンテナンスがやりづらくなります。
そのため、左右に数十センチの余白を空けられる程度には、スペースを取っておくと安心です。

高さ｜約110㎝～130㎝

アップライトピアノの高さは、おおよそ110㎝～130㎝が一般的です。
モデルによって「コンソール型（低）」と「スタジオ型（中）」と「フルサイズ型（高）」と呼ばれることもあり、音の響きや見た目の印象に違いが出ます。

110cm前後の 小型タイプ	コンパクトで部屋に圧迫感がない。 子供や初心者の練習用に選ばれることが多い。
120cm前後の 中型タイプ	最も一般的なサイズで「音量・響き・価格」のバランスが良い。 家庭用や教室用におすすめ。
130cm前後の 大型タイプ	弦が長く響板も大きいため、より深みのある音が出せる。 グランドピアノに近い感覚を求める人におすすめ。

高さが10cmでも変われば、音の厚みや存在感に大きな差が生まれます。
部屋に置いたときの見た目だけでなく、どれくらいの音の響きを求めるのか考えて選ぶと失敗がありません。

奥行き｜約55㎝～65㎝

アップライトピアノの奥行きは、おおよそ55㎝～65㎝です。
奥行きが深いモデルほど弦が長くなり、響きが豊かになる傾向があります。

アップライトピアノを設置するときは、壁から少し離して背面に空間を作るのがおすすめです。
そうすることで、音の響きが自然になる他、調律やメンテナンスといった作業がやりやすくなります。

そのため、奥行きは70㎝ほどのスペースを見込んでおくと安心です。
部屋が狭い場合は、通路をふさがないかどうかも確認しておくと良いでしょう。

重量・重さ｜約200㎏～250㎏

アップライトピアノの重量は、おおよそ200㎏～250㎏です。
見た目以上の重さがあり、電子ピアノとは比べ物にならない重量感です。

そのため、設置や移動は専門業者に依頼しなければならないことも。
搬入ルートの確認やクレーン作業が必要になることもあるため、事前に費用や方法を相談しておくと安心です。

また、重量があることで、床の負担にも注意が必要です。
一般的な住宅の床は、建築基準法により1㎡あたり180kgに耐えられる仕様なので問題ありませんが、畳の上や築年数の古い建物の場合は補強が推奨される場合もあります。

重量はデメリットにも感じられますが、その重さこそが本物の生ピアノならではの安定した音の響きを生み出しているのも事実です。
設置環境をしっかり整えれば、長く安心して演奏を楽しめます。

アップライトピアノの失敗しない選び方

アップライトピアノは、長く付き合える楽器です。
そのため、選び方を間違えて、あとで後悔する人も珍しくありません。

選び方のポイントは、人によって少しずつ違います。
しかし、設置する場所やサイズ、メーカーの特徴や部屋との雰囲気など、押さえておくべき部分は共通しています。

ここからは、アップライトピアノの失敗しない選び方を、具体的に解説していきます。

設置場所や必要なスペースを確保する

アップライトピアノの選び方は、まず置く場所から考えます。

アップライトピアノのサイズは「横幅150㎝・奥行き60㎝」ほど。
さらに、壁から少し離して置く必要があるので、実際には「+10㎝～+20㎝」の余裕を見ておく必要があります。

重量が200㎏を超えるため、床の強度も考えなければいけません。
一般的な住宅の床なら建築基準法の関係で問題ないですが、畳の上や古い建物では補強が必要になることも。

まとめると、設置場所はスペースだけでなく、環境や床の強度も考えることで、安心して置くこおができます。

高さがあると音色がきれい

アップライトピアノの高さは、見た目の印象だけでなく、音の響きにも関係しています。

低めのピアノはコンパクトで部屋に置きやすく、子供や初心者の練習用に向いています。
一方で、高めのピアノは弦が長くなる分、音に深みが出て、より豊かな響きを楽しめます。

高さが10cm変わるだけでも、音の厚みや迫力には大きな差が生まれます。
見た目のバランスを重視して低めのモデルを選ぶ人もいれば、より本格的な音を求めて高めのモデルを選ぶ人もいます。

どちらが良いかは使う人の目的次第ですが、長く使うことを考えるなら、自分がどんな音を求めているのかを意識して選ぶことが大切です。

メーカーやヤマハやカワイがおすすめ

どのメーカーのアップライトピアノを選ぶかも大切なポイントです。

日本の代表的なメーカーであるヤマハは、明るくはっきりとした音が特徴で、ポップスやクラシックなど幅広いジャンルに合います。
一方、カワイはやわらかく温かみのある音が出やすく、繊細な表現を大切にしたい人に好まれます。

電子ピアノからアップライトに買い換えたけど、中古にするか、サイレントつけるか、ハイブリッドにするか、YAMAHAにするかKAWAIにするか半年以上かけて悩み🤔KAWAIのK400にしました。購入してから2年。マジで後悔ゼロ。この子にして良かったと思う事しかない🥰 pic.twitter.com/3gPCDs7EEi

— emmani333 (@emmani333) September 9, 2024

海外メーカーのピアノも選択肢に入れると、より個性的な響きを味わえます。
ただし価格やサイズの幅が大きいので、予算や設置環境とあわせて考えると良いでしょう。

消音機能を付けることもできる

最近、アップライトピアノを選ぶときに注目されているのが「消音機能」。
ピアノの内部に専用装置を取り付けることで、鍵盤を叩いてもハンマーが弦を叩かず、その代わりに電子音をヘッドホンから聞ける仕組みです。

この機能があることで、夜遅い時間やマンションなど音が気になる環境でも、周囲を気にせずピアノを練習することができます！

普段は生のピアノとして演奏でき、必要に応じてヘッドホンに切り替えられるので、本物のタッチ感を保ちながら静かに弾ける点でとても便利です。

消音機能の装置は、だいたい50,000円前後と高額です。
あとから取り付けることもできるため、余裕が無ければ一旦は後回しで大丈夫。

部屋やリビングの雰囲気に合うデザイン

アップライトピアノは、大きな家具のような存在感があります。
そのため、置く部屋の雰囲気に合うかどうかも大切なポイントです。

黒く光沢のあるデザインはクラシックで高級感がありますが、部屋によっては少し重たい印象を与えることもあります。
木目調のピアノはやわらかく自然な雰囲気で、リビングやナチュラルテイストの部屋に馴染みやすいでしょう。

アップライトピアノは簡単に動かせないので、家具の配置や色合いのバランスを事前にイメージしておくのが大切です。
暗めの部屋に明るい木目調のピアノを置くと温かみが増し、逆にモダンな部屋に艶のある黒いピアノを置くと引き締まった印象になります。

部屋の雰囲気と合ったピアノを選べば、楽器として楽しめるだけでなく、インテリアとしても長く心地よく付き合える一台になります。

今だけでなく将来的な使い方も見据える

アップライトピアノを選ぶときは、今だけでなく将来的にどう使っていくかも考えることが大切です。

例えば、子供の習い事として使うなら、コンパクトで扱いやすいモデルを選ぶのが現実的。
また、音楽高校や音楽大学を目指してほしい、本格的に演奏を続けたいといった将来を見据えている場合には、できるだけ高さのあるモデルや音の響きが豊かなものを選んでおく方が安心です。

また、将来ピアノをどの部屋に置くのか、引っ越す予定があるのかによっても選び方は変わってきます。
小さな部屋で使う予定ならコンパクトなサイズが合いますし、広いリビングに置くなら見た目や存在感も考慮したいところ。

ピアノは長く付き合う楽器なので、今の使い方だけでなく、数年後の生活や演奏スタイルを想像して選ぶことで、後悔のない一台に出会うことができます。

予算が少ないときは中古市場で探す

アップライトピアノを購入するとき、新品ではなく中古市場から探す選択肢もあります。

中古ピアノは、新品と比較して価格がグッと抑えられます。
そのため、限られた予算のなかで良質な楽器を手に入れたい人には魅力的です。

特に、ヤマハやカワイなどは丈夫で長持ちするため、中古でも十分に使えるモデルが多く流通しています。

中古ピアノは、前の持ち主の使い方や管理環境で状態が変わります。
見た目はきれいでも内部の弦やハンマーが劣化していることがあるため、信頼できる楽器店や調律師を通じて購入することが重要です。

中古市場を上手に活用すれば、新品では手が届かないグレードのアップライトピアノを手頃な価格で入手できる可能性があります。
慎重に選べば、長く愛用できる一台と出会えることでしょう。

アップライトピアノの価格相場！安く買う方法とは？

アップライトピアノの価格は、新品だと40万円～100万円くらいが相場です。
初心者向けのモデルなら40万円～60万円ほどで、練習用として選ばれることが多いです。

中級モデルは60万円～80万円で、音の響きや鍵盤のタッチも安定してるため、長く使いたい人におすすめ。
高級モデルになると100万円を超えるものもあり、グランドピアノに近い深みのある音を求める人に選ばれています。

中古市場を利用すれば、新品の半額ほどで購入できるケースも珍しくありません。
信頼できる楽器店を通せば、整備したうえで保証を付けてくれることもあるため、安心して購入できます。

中古市場の活用はもちろん、型落ちモデルを探したり、調律付きのセット販売を利用するのもひとつの方法です。
また、消音ユニットが最初から付いているモデルは高価なので、それを避けることで相場よりも費用を抑えられます。

ちなみに、アップライトピアノは価格だけで選ぶと後悔することもあります。
値段が安くても、内部の状態が悪ければ調律や修理に余計な費用がかかるからです。

相場を把握したうえで、価格と品質のバランスを意識し、あなたに合ったアップライトピアノを選びましょう。

アップライトの寿命は何年くらい？

アップライトピアノの寿命は、一般的に20年～30年と言われています。

ただし、この期間はあくまでも目安に過ぎません。
どのように使用し、どれだけ丁寧に管理するかによって、寿命は100年を超えることもあります。

例えば、定期的に調律し、必要に応じて部品交換や内部のクリーニングを続けていれば、40年以上に渡って良い状態を保てることも珍しくありません。
実際、学校や音楽教室のピアノは、数十年単位で使い続けている例が多く見られます。

一方で、調律を怠ったり、湿気や乾燥による影響を放置したりすると、寿命は一気に短くなります。
日本の気候は湿度の変化が大きいため、木材が歪んだり弦が劣化したりしやすく、10年～15年で不具合が目立つ場合もあります。

音程が安定しなかったり、鍵盤のタッチに違和感を覚えたりしたら、アップライトピアノの寿命が近づいているサインです。

寿命は決して一律ではなく、どのように扱い、どれだけ大切にメンテナンスしてきたかによって、大きく左右されます。

よくある質問

アップライトはどんなピアノ？

アップライトの値段や相場は？

アップライトの維持費は？

欠点やデメリットは？

マンションに置ける？

室内にて自分で移動させるには？

不要になったらどうする？

まとめ

アップライトピアノは、コンパクトながら本格的な音色を楽しめるピアノです。
「サイズ・価格帯・維持費」などのポイントを事前に知っておけば、安心して使い続けられます。

今では、Amazonや楽天市場といった大手通販サイトでもアップライトピアノが販売されており、豊富なラインナップを比較できます。

レビューを参考に選べば店舗に行かずとも信頼できるモデルを選べますし、配送や設置のサービスが付いていれば自分で搬入する心配もありません。

この記事を参考に、ぜひあなたのアップライトピアノを見つけてみてください！